大空の下で 〜my diary〜

モンタナの小さな街から送る、留学日記

「大学に行って勉強したいから、高校を卒業したらまず軍隊に入って学費を稼ぐ」
そんな話は、アメリカで生活をする人びとにとってはよく耳にすることだと思う。

かつて“一億層中流社会”と呼ばれた日本では、想像が難しいことかもしれない。
日本だとむしろ、親が子どもの学費を当たり前のように払っていることが多いだろう。

「暗いニュースリンク」に、興味深い記事が載せられていた。

アメリカの大学生活・・・借金だらけ!?

確かに、記事の後半で言及されているように、親が学費を援助できない家庭の子どもたちにとっては、軍隊への入隊は魅力的に映るのだと思う。軍隊で数年の兵役(選択が可能)をこなすことで、

1、高いローンを背負わなくていい
2、何らかの技術を身につけることが出来て就職に生かせる
  (実際はどうであれ、そんな風に言い聞かされるそうです。)
3、生まれ育った街を抜け出して新しい世界が見れる
  (入隊の理由にそんなことを語ってくれた人がいました。)

例えば上記のようなメリットがあると思ってしまうのだそう。
でももちろん、実際はそんなに甘くない。

イラク戦争開始の前に入隊して、まさか実際に戦地に送り込まれるとは思っていなかったという兵士がたくさんいる。イラク行きを好んで受け入れた人もいれば、中には拒めずに送られた人もいる。

身体へのリスクは、戦地ではもちろんのこと、国内での訓練であっても病院通いを一生
続けなくてはならないほどの重傷を負うケースが多い。
ただでさえ就職困難な中で、傷を負った元兵士たちはさらに職の機会を失っている。

「勉強がしたい」「親に負担をかけられない」

高校を卒業したほどのわずか18歳の青年たちがその思いだけのために選択した行く先が、
ふたを開けてみれば実は戦場だったら。
悲しいことだけれど、これはごく普通に起こっている現実だ。

そして国内では頻繁に、軍隊への入隊を促す新兵募集の話をする人びとが各高校を回っている。軍隊で働くことの素晴らしさを、彼らは高校生たちに毎回訴えかけているのだ。

イラク戦争での死者は、イラク人が少なくとも10万人以上、アメリカ兵は2000人以上。
数字を目にしたって一人一人の顔が見えるわけじゃない。それでも、生前はそれぞれに
生活があって、日々を一生懸命に生きていた人たちだったということは想像に難くない。

改めて一つの問いが思い浮かぶ。

「戦争って、誰を幸せにするものですか?」

きっとそれは少なくとも、土地や建物を破壊されて家族を失ったイラクの人たちではない。
きっとそれは少なくとも、大学教育を受けたかったのに傷を負ってしまった青年たちでもない。

やっぱりこのシステム、どこかおかしいよね。

教育や福祉ではなく、圧倒的に軍事に予算をつぎ込む国の内側は
思わず目を覆いたくなるほどボロボロだ。

だけど人びとと接すれば、何かが見えてくる。決して絶望的ではない。
そう、これからもっと、素敵な世界になっていくんだ。

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コメント
その記事


 そういえば、僕も以前読んで気になったよ。

 そうだね、この前2006年度の米国の予算の予測値を見たけれど、大体半分を「防衛費」に使ってるんだよね。実に教育行政に当てる額の8倍。メキシコとカナダから侵略されるのがそんなに怖いのかな。(笑)…あぁ、そういえばキューバがあったか。

 冗談はともかく、ニューディールでは癒しきれなかった大恐慌の傷を、第二次大戦における戦時経済のおかげでアメリカは克服したわけだよね。

 それ以来、軍産複合体ってやつは冷戦をでっちあげたり、テロの脅威なんてのをでっちあげ、大衆を脅かして搾り取ってるわけだ。

 気になる話では、しばらく前に日本の財界が武器禁輸原則の見直しを政府に迫ったりしたらしい。

 要するに、戦争ってのは儲かるんだね。

 嫌な時代だけど、それでも、こういう不自然な構造には限界があると思いたいね。…楽観材料はほとんどないのだけど。
2006/01/15(日) 23:06:40 | URL | 寝太郎 #J6h8E1.c[ 編集]
んーっ・・現実か。
徴兵制度・国を守る・愛国心・青年の義務・悪いやつらをやっつける・イラク開戦当初はハイテク兵器でピンポイント攻撃と劇場型のテレビ放映。まるで誰も死んではいないかのような演出。あの爆裂の元では間違いなく、人の肉片やおびただしい血が吹き飛んでいるのにもかかわらず・・。クィックリィでスマートな戦争で済んだはずだが。今度のイランの核開発問題では一体アメリカはどうするのだろう・・?
2006/01/16(月) 00:22:17 | URL | kumaso #DS51.JUo[ 編集]

 とても目を覆いたくなるような記事ですね。

 米国の学費は一般的に言って、異常に高いです。それだけでなく、大学を卒業していないと賃金の低い職に就く可能性が非常に高くなります。

 しかし、Armyからの奨学金を得てまで進学する場合、2年間の兵役が課されるリスクを飲む覚悟をしている訳ですから、決して悪徳ではないと思いますよ。それに、奨学金は他にも山ほど選択肢がある訳ですし。兵役に就きたくない気持ちは分かりますが、「あわよくば」という風に聞こえてしまいます。

 戦争は良いものではない。ただ、議会での決議によって、政治的に十分なLegitimacyを確保する手続きを経ているのですから、一概に否定は出来ないと思いますよ。代表を選んだのは、他ならぬ国民ですので。

 ある立場に立てばある事実が意味を持ち、違う立場に立てば違う事実が意味を持ちます。どちらの問題についても、他の視点が必要ではないでしょうか。この手の問題を考える場合、Legitimacyの是非を問う事無しに、感情に任せて「社会が悪い」で済ませては扇動と同じ事だと思います。
2006/01/16(月) 12:37:17 | URL | D #yKdCY6Bs[ 編集]

「戦争は良いものではない。ただ、議会での決議によって、政治的に十分なLegitimacyを確保する手続きを経ているのですから、一概に否定は出来ないと思いますよ。代表を選んだのは、他ならぬ国民ですので」・・・・・ 
我が日本国も昭和十年代は議会もあり、国民の選んだ議員と内閣があり、政治的には十分なLegtimacyを確保する手続きを経て満州・日中戦争を、その後は米英相手の太平洋戦争へと・・突き進んでいったのではありませんか? 時の権力者は「ミリタリーパワー」を自由にコントロールできちゃうんじゃありませんかね。
2006/01/16(月) 23:58:06 | URL | kumaso #DS51.JUo[ 編集]

 確かに、時の権力者は「ミリタリーパワー」を自由にコントロール出来のですね。帝国憲法下においては、天皇は権力者ですから。
 さらに、議員の選出はLegitimacyを確保出来る制度ではなかったと言えるのではないでしょうか。

 しかし、現行の米国憲法では、大統領権限・議会権限・・・・、を規定しています。選挙過程にもそれほど問題はないですね。同じ土俵で考える訳にはいかないです。決して大統領は権力者とは言えません。

 
2006/01/17(火) 01:57:58 | URL | D #-[ 編集]
なるほど

 上記のDさんとkumasoさんの議論を読んでいていろいろ思うところがありました。少し議論が噛み合っていないのは、お二人が問題にされていることがそれぞれ別のことだからかなと感じます。

 まず、Dさんが問題にされているのは「民主主義的な手続き」を経て米国は戦争をしているという事実についてですよね。結局、いまの米国があんな状態になっている責任は、米国民の自由意志にあるのではないかということでしょうか?つまり、国内法において合法的な手続きを踏んだ国際法侵犯
という事態をどう解釈すべきかという論点なのかなと思いました。

 それに対して、kumasoさんが問題にされているのは、そうした制度的なものよりも、シビリアン・コントロールのまったく及ばないところで「ミリタリーパワー」を自由にコントロールしてしまう何らかの力についてですよね。もっと根深い、形にしづらいがもっと実質的な「権力」のことを指摘されているのかなぁと感じました。

 どちらも大切、かつ難しい問題ですね。前者は民主主義国家における有権者の責任とはどういったものかという議論にまで突き詰めることが可能ですし、後者は、また民主主義的な制度のコントロールを受け付けないある種の社会的な力の存在についての検討する必要性を必然的に惹起するものだと思います。


 ただ、こういう八方塞な理論的な問題を抱えつつ、結局、実際に学費のために危険な戦地に行かざるを得ないような人びとがいるということを純粋に悲しく思います。sayakaさんがご自分の等身大の目線から問題にされているように、いま苦しんでいる人たちがいる。この事実の重さを忘れないようにしたいものですね。
2006/01/17(火) 03:06:24 | URL | 寝太郎 #J6h8E1.c[ 編集]
寝太郎さんへ
>>ただ、こういう八方塞な理論的な問題を抱えつつ、結局、実際に学費のために危険な戦地に行かざるを得ないような人びとがいるということを純粋に悲しく思います。sayakaさんがご自分の等身大の目線から問題にされているように、いま苦しんでいる人たちがいる。この事実の重さを忘れないようにしたいものですね・・・・<<まさにその通りです。巨悪は深い闇の底に潜んでますからね。社会的に弱者がいつも犠牲になるのではないでしょうか?
2006/01/17(火) 19:14:05 | URL | kumaso #DS51.JUo[ 編集]
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